西安の遣唐使　井真成墓誌

2004年西安にて、日本から遣唐使として唐に渡って、客死した留学生井真成（せいしんせい）の墓誌を発見した話題がありますね。これは中国で当時の日本人の墓誌が発見されたのは初めてです。墓誌は、ほとんど知られていない遣唐留学生の実態を伝えており、日中交流史の新たな側面を浮き彫りにする貴重な発見と言っても過言ではありません。

井真成はどういう人間でしょうか。これから、紹介させて頂きます。

井真成:
（せいしんせい、いのまなり？、699年 - 734年（日本：天平6年、唐：開元22年））は、中国の古都西安で墓誌が発見されました。奈良時代（中国の唐時代）の日本人留学生の姓名で日本名は不明です。

「井真成」は、中国西安の西北大学で発見された墓誌に、日本人留学生として記されていた姓名です。
墓誌は、同国陝西省西安市内の工事現場から発見されましたたと、同国の西北大学が、2004年10月12日に発表しました。墓誌は発見された後、一度個人の所蔵となりましたが、西北大学付属博物館が収蔵されています。

墓誌には、日本人留学生の井真成が、開元22年（西暦734年）正月■（朔～十，廿のいずれか）日に死去しましたので、「尚衣奉御」の官職を遺贈されたなどと記されています。これは考古学的に、中国で発見された最初の日本人の墓誌であり、現存の資料のなかで日本の国号を「日本」と記述した最古の例です。

研究によれば、井真成は717年（養老元年）、多治比真人県守を大使とする遣唐使とともに渡唐したとされます。これは、阿倍仲麻呂や吉備真備と同時期の渡唐です。井真成の死去の前年の733年（日本：天平5年、唐：開元21年）には、多治比真人広成を大使とする遣唐使が渡唐し、翌年には留学生吉備真備らを連れて帰朝しています。したがって、この遣唐使がまだ唐に滞在中に病死したものと考えられています。また、墓誌に日本という国名があることが興味深いです。2005年（平成17年）12月には、NHKスペシャル「新シルクロード」で、井真成のイメージドラマが放送されました。

井真成墓誌の内容が下記の通りです。

公、姓井字眞成。國号日本、才稱天縱。　
―　性は井、字（あざな）は真成。国は日本と号し、才は天縱（てんしょう）と称さる。

大変優秀だった井真成は官僚として朝廷に仕え活躍しましたが、病気により36歳で亡くなりました。
時の６代皇帝・玄宗は彼の才能を惜しみ、栄誉を称えて官位を贈ったのです。

形既埋于異土。魂庶歸于故鄕。
―　形は既に異土に埋められる。魂よ庶（こいねが）わくは故郷に帰らんことを。

これは墓誌最後の文です。とても胸が熱くなりませんか。
「体は異国に埋められてしまったけれど、魂は日本へ帰って行け」と、願っている。
井さんは祖国に生きて帰ってきたかったでしょうに。